CMake ビルドシステムは、ビルドターゲットを定義する CMakeLists.txt
ファイルに依存しています。リポジトリのルートにある CMakeLists.txt
はビルドツリーの最上位であり、ビルドプロセスで使用されるさまざまなターゲット、オプション、マクロを定義する場所として適しています。
最初に定義する値は、プロジェクト名とサポートされているプラットフォームです。
この例では、プロジェクト名を ot-efr32
に設定し、バージョンを 0.0.1
に設定します。また、ot-efr32
でサポートされている efr32
プラットフォームのリストである変数 EFR32_PLATFORM_VALUES
も定義します。この例では複数のプラットフォームを定義していますが、_PLATFORM_VALUES
変数に 1 つのプラットフォームを指定してもかまいません。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10.2) project(ot-efr32 VERSION 0.0.1) set(EFR32_PLATFORM_VALUES "efr32mg1" "efr32mg12" "efr32mg13" "efr32mg21" )
CMakeLists.txt
ファイルには、サポートされていないプラットフォーム用に起動されたビルドを中止するチェックが含まれています。
set_property(CACHE EFR32_PLATFORM PROPERTY STRINGS ${EFR32_PLATFORM_VALUES}) if(NOT EFR32_PLATFORM IN_LIST EFR32_PLATFORM_VALUES) message(FATAL_ERROR "Please select a supported platform: ${EFR32_PLATFORM_VALUES}") endif()
次に定義する変数は OT_PLATFORM_LIB
です。この変数は、OpenThread サンプル アプリケーションがプラットフォームに対してリンクするために使用します。
set(OT_PLATFORM_LIB "openthread-${EFR32_PLATFORM}")
OpenThread の CMake オプション
OpenThread のさまざまな機能を有効化、無効化、構成するには、CMake 変数を定義します。
ot-efr32
プラットフォームでは、外部 mbedTLS ライブラリ silabs-mbedtls
が使用されます。
set(OT_BUILTIN_MBEDTLS_MANAGEMENT OFF CACHE BOOL "disable builtin mbedtls management" FORCE) set(OT_EXTERNAL_MBEDTLS "silabs-mbedtls" CACHE STRING "use silabs mbedtls" FORCE) set(OT_MBEDTLS ${OT_EXTERNAL_MBEDTLS})
出力ディレクトリを定義する
さまざまなターゲット ファイルの出力ディレクトリは、次の変数を使用して構成できます。
set(CMAKE_ARCHIVE_OUTPUT_DIRECTORY ${PROJECT_BINARY_DIR}/lib) set(CMAKE_LIBRARY_OUTPUT_DIRECTORY ${PROJECT_BINARY_DIR}/lib) set(CMAKE_RUNTIME_OUTPUT_DIRECTORY ${PROJECT_BINARY_DIR}/bin)
OpenThread をビルドツリーに追加する
openthread
サブモジュールをビルドツリーに含めるには:
add_subdirectory(openthread)
ビルドプロパティを OpenThread に渡す
このファイルの最後のセクションでは、openthread
ビルドツリーとプラットフォーム ライブラリに追加するビルドプロパティ(定義、オプション、インクルード ディレクトリなど)を定義できます。
これらの定義を追加する便利な方法は、ot-config
ターゲットを使用することです。このターゲットは、構成の定義のみを目的とした疑似ターゲットであり、openthread
のほぼすべての CMake ターゲットとリンクされます。
# Define config filename macros target_compile_definitions(ot-config INTERFACE OPENTHREAD_CONFIG_FILE="openthread-core-efr32-config.h" OPENTHREAD_PROJECT_CORE_CONFIG_FILE="openthread-core-efr32-config.h" OPENTHREAD_CORE_CONFIG_PLATFORM_CHECK_FILE="openthread-core-efr32-config-check.h" ) # Disable -Wshadow and -Wpedantic target_compile_options(ot-config INTERFACE -Wno-shadow -Wno-pedantic ) # Add platform dirs to "include" dirs target_include_directories(ot-config INTERFACE ${PROJECT_SOURCE_DIR}/src/src ${PROJECT_SOURCE_DIR}/src/${EFR32_PLATFORM} ${PROJECT_SOURCE_DIR}/src/${EFR32_PLATFORM}/crypto )
ビルドツリーにサブディレクトリを追加する
最上位の構成が定義されたので、他のサブディレクトリをビルドツリーに追加します。
src
フォルダには、プラットフォーム抽象化レイヤのソースコードが含まれています。third_party
フォルダにはサードパーティ コードが含まれています。
サンプル アプリケーションをリポジトリに含める場合は、examples
フォルダを作成し、ビルドツリーにも追加します。
add_subdirectory(src) add_subdirectory(third_party) # Optional add_subdirectory(examples)
src
ディレクトリ
これはリポジトリの中心であり、プラットフォーム抽象化レイヤが実装される場所です。また、いくつかの必要なファイルも含まれています。
src/arm-none-eabi.cmake
これは、CMake がビルドプロセスで使用する変数を定義するツールチェーン ファイルです。このファイルの ot-efr32
バージョンをコピーして、プラットフォームに合わせて変更することをおすすめします。
src/CMakeLists.txt
ここで、プラットフォーム ライブラリのソースファイル、インクルード パス、コンパイラ フラグを定義します。単一のプラットフォームのみをサポートするリポジトリのこのファイルの例は、ot-cc2538
です。
1 つのリポジトリで複数のプラットフォームをサポートできます。また、複数のプラットフォーム リポジトリを参照として使用できます。ot-efr32 と ot-nrf528xx をご覧ください。